皆さんはロボットと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
鉄腕アトム、ドラえもんといった人気キャラクターから、AIBO、アシモ、ペッパーといった(当時としては)最先端の存在まで‥‥。
ロボットと人の共生は物語の話、あるいは未来の話とされてきました。
ですが、実はロボット技術を活用した福祉や介護はすでに始まっています。
今月は、福祉業界とリフト・ロボット、その最前線についてお話をさせてください。
【北欧デンマークではロボット技術の実用化が進んでいます】
介護ロボットは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と深く関わっています。
日本ではDX化自体、さまざまな課題をクリアしながら進めている状況ですが、
デンマークは早くから介護現場でのICT機器が活用されており、
介護士は人がする必要のある仕事だけをし、それ以外は機械を使うという考え方が基幹にあるようです。
例えば、床掃除はロボットの仕事だというようにロボットの実用化や
介助のための機械がいたるところに設置されていて、ベッドから起こして
車いすに乗せるのにも備え付けのリフトを使うのが当たり前に普及しています。
デンマークには、次のような高齢者三原則があります。
1. 継続性の維持
(高齢者の今までの生活をなるべく変化させない)
2. 自己決定の尊重
(高齢者自身の決定を尊重する)
3. 残存能力の活用
(自身でできることは自ら行う)
この原則により、現在のデンマークでは日本のような老人ホーム(デンマークではプライエムと呼ばれています)の建設が原則禁止されているとのこと!
代わりに、自治体主導でバリアフリー型住宅の建設が進められています。
とはいえデンマークでも少子高齢化は進んでいて、介護の担い手不足は深刻な問題になっています。この点は日本と同じですね。
デンマークでは、介護用ロボットの実証実験を積極的に行って、ロボットに可能な介護はできるだけロボットに行ってもらい、働き手の負担軽減を図っています。
日本からも介護候補ロボットが持ち込まれ実証実験が行われています。
そして介護の現場にICT機器を取り入れることで働く人の負担を軽減させ、介護の質の保持と業務効率化を両立できるという考え方が一般的になっています。
日本の介護業界にも本格的に取り入れていきたい考え方ですね。
【日本の介護業界は2025年からの問題を抱える】
北欧でも課題になっている介護の人材不足ですが、日本はさらに深刻です。
特に、団塊の世代(1947〜1949年生まれ)といわれる方が後期高齢者となる2025年から状況が厳しくなると予想されています。
2025年には高齢者の人口が3657万人に達すると言われ、これは総人口の約30%に相当する数字です。それから25年間高齢者人口が増え続けます。
昨今の少子化傾向を加味すると、2050年には高齢者が人口に占める割合は39%まで達する予想がされています。 【下図 内閣府資料より】
介護を必要とする後期高齢者の数に対して、介護者の数は足りていないのが現状で2025年〜2035年までには、20〜40万人もの介護人材不足が発生すると予測されています。
人手不足の職場は、肉体的にも精神的にもゆとりが無くなりヒューマンエラーが起こりやすくなってしまい、離職率の高さが問題となっています。
加えて介護職員の賃金は、全産業の平均額と比較すると6万円ほど低いと言われ、ここ数年で政府も本腰を入れて待遇改善が行われる環境になりつつあります。
若い介護職員が希望とやりがいの持てる労働環境の改善を実施することで、働きやすくなり担い手が増えていくことが期待されます。
【職場環境の改善に介護ロボット等の活躍が望まれます】
今日までの介護保険制度で要介護者の環境は随分と整備されてきましたが、介護現場の移乗作業をスムーズにするリフトやリハビリ用の福祉用具、バリアフリー化の階段昇降機や入浴リフトは環境改善に役立つほど普及してないのが現実です。介護者の負担軽減につながるような水準まで普及させていきたいものですね。
外階段に昇降機を設置「高齢者は皆、安全のためつけたら良い!」とお喜びいただきました。 | 北日本メディカル (kitamedi.co.jp)
介護負担の軽減と腰痛の改善に、入浴リフトが活躍 | 北日本メディカル (kitamedi.co.jp)
そして北海道でも介護ロボット等の普及推進のために「北海道介護ロボット普及推進センター」が設置されました。介護ロボット等を常設展示するほか、介護ロボット・ICT機器の活用による業務改善等に係る講習会等の開催、介護ロボット等の無償貸与を行うとともに、使用者の評価内容を機器の製造元にフィードバックする事業を行っています。
介護ロボット等とは...
◎移乗介助支援ロボット
◎各特化型自立支援ロボット(移動、排泄、入浴、食事、服薬)
◎ICTやセンサーを使った認知症の方の見まもり機器
◎コミュニケーションおよびメンタルケアロボット
老老介護の難しさも取りざたされて久しい日本ですが、近い将来は、介護従事者だけでなく、誰もが自宅や教育現場で当たり前に介護関連ロボットを活用する少し明る
くてホッとする高齢社会が実現して欲しいものですね。
私達も福祉業界に関わるものとして積極的にDX(デジタル・トランスフォーメーション)を取り入れ、介護ロボット等の普及を先導して行きましょう!!
【今回のお話、いかがでしたか?】
とはいえ、まだロボットが身の回りの介護を完璧にこなしてくれる未来には至っていません。ロボットを活用するには人の手が不可欠です。
また、リフトや昇降機についてもメンテナンスや故障時の対応が必要になっています。 実際、弊社でも365日トラブルに対応できるよう、緊急対応の体制を完備しています。
保守・メンテナンス | 北日本メディカル (kitamedi.co.jp)
来月はその緊急出動の内情、必要性について等のメルマガをお届けしたいと思います。
(弊社3月号のメルマガより抜粋)