現代の教育現場では、障害や病気の有無・人種・性別・宗教などのさまざまな違いを認め合い、全ての子どもたちが一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」が注目されています。
そのインクルーシブ教育に欠かせないのが学校の階段のバリアフリー化です。
車いすを利用した状態で2階に登る手段がないと、他の生徒と同じ体験ができないためです。
そのような問題の解決には、車いす用階段昇降機(斜行型段差解消機)が役立ちます。
そこで、今回は車いす用階段昇降機の設置により、バリアフリー化を実現した大樹町立大樹中学校(以降は、「大樹中学校」と言います。)の事例を紹介します。
今回ご紹介する大樹中学校は、北海道広尾郡大樹町にある中学校です。
大樹町には小学校・中学校・高校が1校ずつしかないのが特徴です。
その特徴を生かし、「大樹町小中高連携教育推進委員会」などを通じた連携により、公立でありながら小中高一貫した指導を実現しています。
大樹中学校の校舎は鉄筋コンクリートの3階建てで、バリアフリー化がされておらず、車いすで2階・3階に登れない状態でした。
文部科学省が小中学校のバリアフリー化を推進している背景もあり、令和6年度にバリアフリー化を実施することになりました。
大樹中学校のバリアフリー化の内容は以下の4つです。
① 車いす用階段昇降機の設置
② 1階に多目的トイレの設置
③ 2階と3階に車いす対応トイレの設置
④ 生徒玄関にスロープの設置
今回は、「① 車いす用階段昇降機の設置」に焦点を当てて紹介します。
今回の事例では、車いすに座った状態で各階への移動ができるように、車いす用階段昇降機を設置しました。
▲設置した車いす用階段昇降機
使用しない時は、1階に乗り込みテーブルを待機させるとのことです。
そこで、生徒さんの通行の妨げにならないように、1階の部分を180度内側に曲げて停止するようにしました。
▲左:1階乗車時 右:1階収納時
また、レールを建物の壁ぎりぎりに設置することで、歩行する生徒さんの通行部分が広くなるように配慮しています。
▲レールは壁ぎりぎりに設置
なお、この車いす用階段昇降機は、折り畳むとサイズは約400mmです。
▲折り畳み時
設置後、教員の方からは、「リモコンのボタン操作でテーブルの開閉や昇降ができる点」や「使い方が簡単な点」を評価していただきました。
▲車いす階段用昇降機の設置前後の比較
文部科学省は学校のバリアフリー化において、校舎のエレベーター設置割合を令和4年度の29.0%から、令和7年度末までに約41%に引き上げることを目標に掲げています。
しかし、令和4年9月時点で、学校施設のバリアフリー化の計画がある地方自治体は全体の25%です。
取り組みが進まないのは、校舎にエレベーターを設置するには大がかりな工事が必要で、予算を組むことが容易でないからだと想像できます。
そこで、学校のバリアフリー化に悩んでいるご担当者様には、車いす用階段昇降機をおすすめします。
既存の階段に設置することで、費用を抑えつつバリアフリー化を実現できるためです。
車いす用階段昇降機に関して不明な点や疑問などがございましたら、弊社までお気軽にご連絡ください。