階段昇降機は利便性の高さから、医療機関や介護施設より設置を依頼されるケースが増えています。
そこで今回は、終末期のがん患者への緩和ケアに取り組む合同会社山ざくら様の設置事例を紹介します。
終末期では、人生の最期をどこで迎えるかが重要な選択です。
「住み慣れた自宅で家族に看取られたい」
「医療機関で充実した医療サービスを受けたい」
このように、最期の場所は患者の望みと大きく関係しているためです。
厚生労働省が令和4年度に実施した「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」では、医療・介護関係者以外の方の43.8%が自宅、41.6%の方が医療機関と回答しました。
しかし、令和元年の死亡場所の割合は自宅が13.6%、病院が71.3%で調査結果と大きな違いがあります。
このことから、「最期は自宅で迎えたい」と希望しても、病院で最期を迎えざるを得ない方がいるとわかります。
今回紹介する合同会社山ざくら様は、札幌市で「のぞみ訪問看護ステーション」を運営している企業です。
同社は、人生の最期を自宅で過ごしたくてもいろいろな事情で実現できず、専門病院に入院せざるを得ない終末期の患者がいることに心を痛めていました。
そこで、そのような方が家族と過ごせる、まるで我が家のような空間を作りたいという思いから、一軒家を買い入れ、終末期のがん患者の緩和ケアを目的としたシェアハウスを新たに開設しました。
患者の望みを叶える家という意味を込めて、「のぞみかなえハウス」と命名しています。
購入した物件は一般的な一軒家のため、階段昇降を支援する機器がありませんでした。
終末期のがん患者は亡くなる約1カ月前になると、食欲不振や倦怠感などの症状が出始め、日常生活が難しくなっていきます。
そして、のぞみかなえハウスでは2階にも2床分の部屋を増設して利用者と家族が一緒に生活するため、階段の移動手段は大切な課題でした。
対応としてホームエレベータの設置も検討しましたが、設置スペースを確保できないことから、階段昇降機を設置することになりました。
階段昇降機を設置するにあたり、課題となったのは下階でのレールの飛び出しです。
玄関からすぐの場所に階段があるため、そのまま設置すると廊下を圧迫し通行に支障をきたすためです。
▲設置前の1階階段前
課題への対策として、レールを180度内側に曲げることでレールの飛び出しを最小限に抑えています。
▲レールを内側に180度曲げた様子
設置後、ご担当者様から「まだ2階の入居者様がいないので、しばらく使う予定はないものの、急遽、来られたとしても椅子式階段昇降機で移動が容易になったのはありがたい。」と喜んで頂けました。
シェアハウスの職員様からは、少人数で階段やトイレの介助が大きな負担となるため、階段昇降機の導入を待ち望まれていたとのことです。
今回紹介したように、階段昇降機は看護・介護のプロからも階段の移動手段として選ばれています。
医療機関・介護施設のご担当者様はもちろん、自宅に階段昇降機の設置を検討している方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。